counterカレンダーカテゴリーブログ内検索メルフォPowered by NINJA TOOLS
|
ザクロの葬列二次創作中心。ブログサイトです。PAGE | 59 58 57 56 55 54 53 52 51 50 49 | ADMIN | WRITE 2011.04.18 Mon 23:50:21 劣化アメジスト稲妻11 砂木沼デザームと瀬方ゼル 劣化アメジスト エイリア編よりちょっと前かな?ぐらいのお話 やっぱり暗めなお話 狂ったのは いつからだろう 最初に顕著に現れたのは耳だった 違和感を覚え、洗顔後の水が滴るのも忘れて、鏡の向こうの俺は異常な形状を目にした その時、ドキリと跳ねた心臓の重さは生々しく記憶に刻まれ 俺は震える指先で尖った耳を呆然と触った それと同時に 俺の横で髪を結ってた、その黒髪の間から白い、俺と同じように異様に尖った耳が見えた 異常に気付いた貴方が髪を纏めるのを辞め 怪訝な顔でその白い尖った耳をしばらく、確かめるように触っていた それから 鏡の中で俺に目を合わせて 「…副作用…のようなもの、だろうな」 と、何とも哀しそうに口角を上げた そう言って、それっきり貴方は何事もなかったかのように 再び髪を結いはじめた 俺の外見的な異常はそれだけで 何時しか、尖った耳すら当たり前になった頃 狙ったかのように、貴方だけ 白い肌に張り付く黒髪を 白い長い指先で払いながら 何度も髪を結い直すのをよく見かけた その揺れるポニーテールは肩甲骨を過ぎ去って腰元に迫っていた 「髪、伸びましたね」 切らないんですか、と何となく聞いたら貴方は 「切ったことろで夜が明けると戻っている」 そう伏せ目がちに笑った そんな会話をしながら貴方は一瞬、悔しそうに顔を歪ませて何度も、異常な長さの髪を結い纏めようとあがいていた 「その、髪の毛…俺、結びますよ?下手くそですけど」 その光景に俺も悔しくなって出た言葉 「…頼む」 ぽつりと零れた貴方の声は少し掠れていた やわらかい貴方の髪を結いながら盗み見た横顔には少し『諦め』の色が挿していた それから数日 ぼんやりテレビを眺めてた俺のすぐ近くで CMに切り替わった番組をリモコンでつまらなそうに切り替えていく貴方が突然口を開いた 「…『デザーム』と言うらしい」 なんの事だか解らないで俺は貴方の顔を見つめながら瞬きを繰り返す 貴方はその時一度だけ俺に目を合わせて 直ぐさま、テレビに視線を戻した 「…『デザーム』と言う、私の名前だ」 「デザーム…ですか?」 「『様』と、呼べ」 「…はぁ」 「お前は『ゼル』と言うらしい」 「ゼル…?」 「そうだ」 淡々と言葉を紡ぐ貴方はなんて機械的だ、と思った こんなこと間違ってると貴方は知っている筈なのに 「…でも…!砂木…」 あの時全身で否定したかった 「『デザーム、様』だ、ゼル」 だけど、そう俺に強要した貴方の顔を見たら 目頭が熱くなって言葉を飲んだ 貴方が子供のように、泣きそうな顔したから その日から 俺はゼルで、貴方はデザーム様で 俺は『名前』を呼ばれることは無くなった そして、俺も『名前』を呼ぶことも無くなった 何か大切なものを失ってしまいそうな歪んだ平衡線を辿るようだった ある日、とうとう貴方は髪を結うことを辞めた それとも単に、結えなくなったのか 長くなりすぎた黒髪は揺れるポニーテールを作られることもなく ふわり、と首に巻き付けられた 「デザーム様、もう髪、結ばないんですか?」 「…今は」 短い返事には感情がないみたいに無機質だと そう思ったけど俺は何も言えなかった 幾日すぎて 1番最初に見たカケラのような石とは比べものにならないくらい 大きな、薄紫のそれに出会った 最初はカケラですら吐き気がするほどだったのに 今はもう、なんともない ただ、全面が紫色に発光した部屋は病気的だと 俺のあまり使わない脳みそが警鐘を鳴らした 視線を上げて、いつも側におられる貴方を見れば その奇妙な石を愛でているかの如く撫でていた だけど瞳には感情は伺えず …貴方のそんな表情見たことない 俺の側にいるこの方は もう、俺の知っている貴方ではなくなったのだろうか それから暫く 貴方だけがあの紫色の部屋に呼ばれる日が続いた ボールを蹴るにも貴方がいないんじゃ 楽しくない そして胸騒ぎがした それから今日、 あの部屋に行ったままの貴方から 俺に面会の号が下った お呼びとあらば 俺はすぐさまあの部屋へと向かった 軽い機械音のするドアを開いて 上段にいる貴方の影を捉えた 「お呼びでしょうか、デザーム様」 階段を上がりながら貴方へ向かう 「ゼル」 覇気のある声で呼ばれ歩みを止めた 「一人、か?」 「はい」 「ならば、私の前に来い」 「今すぐ」 久しぶりの会話 会話という会話ではないが貴方の声が聞こえただけで十分だ 俺は言われた通、前に起立した 目を閉じたまま腕を組んで柱に体を預けているその人は ゆっくり目を開けた ああ、その動作のなんて綺麗なこと! それと同時、 驚愕した 「で、デザーム、様…!」 「……」 開かれたその目は あろうことか、本来白く在るべき部分は漆黒に染まっていた 吸い込まれそうな黒、ただ見つめることしか出来なかった 「…何、故」 何故と言いながら俺は解っていが そう、そうしか言えなかった 黒いと橙のコントラストが俺を捉えて離さない 「…こんな目では…涙、の流し方さえも忘れたようだ」 「…デザーム様」 「異様だと」 「………」 「言ってくれ、なんて我が儘にしかならんだろうが、そう望んでしまうのだ」 「……すみません」 「どうしてお前が謝る」 漆黒に変わり果てた目がやわらかく歪んだ 「あの時、私も解っていた」 「…デザーム様…?」 「間違っている、と」 「…!」 「お前が、そう言葉を紡ぎかけた」 「……」 「…だが、私はそれを遮った」 「……デザーム様」 異様、だ そう小さく吐き出しながら 変化を遂げた耳を、髪を、目を 貴方は壊れ物を触るように指を滑らせた 「瀬方」 突然呼ばれた、俺の『名前』 「瀬方、こんなこと間違っていると…言ってくれ…」 「……しかし…!」 「私は間違っている、と」 瀬方 と、言われ同時に 貴方の手は俺の両肩を握力に任せ掴んだ …痛いですよ、砂木沼さん それに、そんな縋るような顔をしないでください 「…いえ、貴方は間違っていません」 掴まれてた肩の力が緩んだ 「…俺は、貴方を否定できません」 「瀬…方…」 「貴方を否定してしまえば、貴方の痛みも苦悩も…その姿だって…全てが間違ってるって、そんな風に…俺にはできません…!」 「…瀬方」 「だって…どんな姿でも貴方は俺の目の前にいるじゃないですか…砂木沼さん…!」 「…瀬方…」 「そんな姿になってまで、今更、間違ってるだなんて…もう…」 「…すまない」 「解ってらっしゃるんでしょ!?砂木沼さんだって…」 「…手遅れだと、」 「だったら…!」 そんなこと言わないでください そう、搾り出したはずの声は 音にならずに空気を震わせただけだった 「すまない、瀬方」 掴まれてた肩は解放され じんわりと貴方の感触だけが残った 「…『砂木沼さん』は何も…間違ってなんかないです…ですが…」 「瀬方…?」 「…何が間違っている、何が正しいだとか、そのようなこと、らしくないですデザーム様」 『デザーム様』 その名前に漆黒の双眼が見開いた 異様だと、貴方が望むように言って差し上げれるなら 貴方をどれほど救えるのだろう だけど、俺も貴方も知ってますよね? 戻れないと、ねぇ、砂木沼さん 「…我々の任務遂行に…そのような、感情、は無用だと…だか、ら、間違っている、な、んて…!」 視界が滲む ああ、これじゃ貴方のお顔が上手く見えない ぽたり ひとつ雫が伝う ぽたり ぽたり 今、止まる術を忘れた雫は俺の頬を伝って床を濡らす 「すみません、デザーム様、言葉が…過ぎ、ました…」 「瀬が、…いや……ゼル、すまなかった」 「で…デザーム様は、何も」 涙で滲み歪んだ視界を 手の甲で拭った 涙が止まらない 「ゼル」 「貴方が、涙を流せ…ないなら、俺が、幾らでも…涙を流します…だから、」 「……」 「今は、デザーム様で、いてください…」 「…あぁ」 俺の癖のある前髪を デザーム様の大きな手がくしゃりと撫でた なんて 懐かしい、感覚 狂ったのは、いつからだろうか この薄紫の部屋が、酷く憎らしく思えた ----------------------------------------- くだらないと思って割り切るほうが きっと楽だと思った 砂木沼が傷つくのが耐えれない瀬方と 間違った選択をした自己嫌悪な砂木沼 PR |