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あつい疾走

ポケモンDP

あつい疾走

ジュンの話。ヒカリはいないけど一応ジュンヒカのつもりです。
ポケモンリーグからフタバに帰るまでのお話。


シンオウリーグの最終部

「バッジ8つの腕、四天王を下した実力… どうやら嘘じゃないようねこの私を追い詰めるなんて!! …ガブリアス!ドラゴンダイブっ!!」

「かわせぇ!エンペルト!!」

無人となったフィールドにガブリアスのドラゴンダイブがヒットする
 
「な…!ガブリアスっ上よ!」
「もう遅いってんだ!エンペルトぉぉぉ!!渾身の冷凍ビームを叩き込めぇ!!!!」
 
全身の力を絞るような声でトレーナーは新緑のマフラーを翻しながら叫んだ
 
一瞬凍てつくような空気がフィールドを走った

ピシィっと空気を裂く音がして巻き上がる砂塵からガブリアスが声も無く倒れ込んだ

「…ガブリアス!お疲れ様…ありがとう、あなたは私の誇りよゆっくり休んでね」
 
ガブリアスをモンスターボールに戻しシロナはトレーナーに向き直した
 

「おめでとう…あなたの勝ちよシンオウの新チャンピオンさん」
「…?かっ…た?のか」
「そうよ、あなたのジュンくん、君の勝ちよ」
 「勝った!勝ったんだな!!!エンペルトぉ!勝ったんだぜ!おれたち!!!」
 
新緑のマフラーをしたトレーナー、ジュンは走ってエンペルトに抱き着いた
 
「さぁジュン君奥の部屋で殿堂入りの記録を残しましょうリフトに乗って」
 
シンオウリーグの最も奥の殿堂入り部屋、自然と緊張感が走る
回復マシンにに似た機械で殿堂入りした者の記録を刻む
 
「刻むのは君の名前、君の旅の記録、君の仲間たち、それから今日、君がシンオウで最強になった記録を!ジュン君今から君がチャンピオンよ」
「あ!待った!」

シロナが話し終わる前にジュンが声を出した
 
「記録は残すけどさ、おれ・・・チャンピオンにはならないぜ。あ・・・チャンピオンにならないと記録残せないっていうなら記録も残さねぇよ」
 
ジュンは真面目な瞳でシロナを見上げた
 
「記録だけでも大丈夫よ、チャンピオンにならないのは… …あなたが決めたなら、いいけど、どうして?」
「どうしてってチャンピオンはゴールじゃないんだ」
 
ジュンは一瞬唇を噛んだがすぐに話しを続けた

「おれの旅はここじゃ終わらせられないんだって強くなるって約束したからさ」

ジュンはそう言いながら記録を終えたモンスターボールをボールホルダーにセットし直した
 
「シロナさんおれが挑戦する少し前に長い黒髪で赤いマフラーした女の子来ただろ」
「えぇ来たわヒカリちゃんでしょ?」
 
その言葉でジュンは少し笑った
 
「やっぱり… シロナさん、ヒカリ何処に行ったか知らないか?」
「家に戻るって、言ってたわ」
「そっか!・・・おれ そろそろ行くぜ!じっとなんかしてられないってんだ!!!」
 
そう言ってジュンは出口に繋がるリフトに乗った
ゆっくりとリフトが動く、それにシロナが駆け寄った

「ジュン君、君は何処に行くの!?」

ジュンはニィっと笑って右手をぐっと上に突き上げ指で天井を指した
 
「上の世界に!!!!」
 
殿堂入りの部屋に残されたシロナはジュンの記録が映った機械のモニターを眺め呟いた
 
「…わからないわあの子たちが…」
 
ひどく焦りを感じた
 
「私たちはきっと負けるために、彼らに越えられるために存在する…」
 
その頃ジュンはリーグの外にいた
熱い 熱い 熱い 走ったからじゃなくて、気持ちが 、想いが、 体の中が
走って乱れた呼吸を整えて 大きく深呼吸をした
シンオウは風が冷たい
ポケモンリーグは風の吹きさらす高台にあって尚更だ
だが今は そんなもの関係ない
ただ ただ体の芯から熱い

ジュンは左胸に手を添えてみた
あつい ドク…ドク……と脈動が
手を伝っていや、全身から伝ってくる
この先が楽しみでしかたない何処までも走れる、そんな気分だ
 
空を見上げ ジュンは高くモンスターボールを投げた
 
「ムクホーク!!フタバまで全速力でたのむぜ」
 
ふわり とムクホークはジュンを背に乗せ舞い上がった

「また、これでヒカリと同じラインに並んだってんだ…!まだ終りじゃない まだまだ!!!」
 
ふと目線を逸らせばポケモンリーグのさらに奥、霧の奥、 微かに大きな建物が見えた
 
「あ…あれは、バトルフロンティア・・・!」
 
胸の脈動が一層大きくなる
もうすぐ …だ、 と小さく呟いてジュンはおもいっきりバトルタワーに指を突き向け叫んだ
 
「待ってろってんだ!!!」

ドキドキする
流れる血の音が全身を駆け回る脈動が、鼓動が、耳に響いて 、うるさい
 
だけど

不思議と心地よい響き
自分が強くなれそうな、そんな気持ちが 溢れてくる
 
「強くなるから……って約束したんだ」
 
ヒカリは覚えてるだろうか、・・・覚えてると信じてる
冷たい風が頬にあたるけどやっぱり熱い 終われない気持ちが強くなる
 
ジュンはフタバに帰り着いて自宅に戻った
けどじっとなんかしてられなかった

気が付くとヒカリの家の前に立っていた
 
熱い 熱い 熱い 熱いドク…ドク…と体中に脈動が聞こえる
うるさいけど治まってほしくない この脈動
 
(なぁヒカリこれで終りじゃないんだろ?)
(いつの間にか追い付かれ追い抜かれたけど今はまた一緒に並んだんだ)
(だからここからまた始めようってんだ)

ふぅと深呼吸ひとつ、風が前髪を掠めたのを合図に
幼なじみの玄関をゆっくり開けた
 

守れるように強くなるって約束したんだ
 
君となら強くなれる
 
そんな気がして
 
熱い気持ちがとまらない

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