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gray,gray,rains



sonic  SS

gray,gray,rains

シルバーとメフィレスの話。
まだメフィレスの正体を知らないシルバー。
シルバーサイドとメフィレスサイド。
暗めのお話。





side:Silver
 

灰色の背景にそれは見事に混じっていた
 
「アンタ、寒くないのか?」

メフィレス、とオレは混じりかけの灰色に聞いた
 
けだるい雨が灰色の空から流れるように降っていた
灰色のそれに雨が滴っている
 
「君は寒いのかい?」

シルバー、ってメフィレスは抑揚のない言葉を返してきた

「寒いよ、こんな雨に降られてんだぜ」

そう返すオレは廃墟の物影で雨宿りしてるんだけど
だって雨に濡れたくないからけど、
アンタ、ずぶ濡れじゃん
と思うと同時、雨に混じってメフィレスの声

「ボクは寒くないよ……それに」
「それに?」

灰色のそれはゆっくり目を閉じて灰色の空を仰いだ
 
「雨に濡れているのも解らない」
 
その瞬間オレの耳から雨の音が消えた多分、
オレは今すごい悲しい顔してると思う

「何言って…!!」
 
オレは思わず灰色の雨の世界に飛び出して
灰色のそれの手をとった
メフィレスは表情すら変えないけどきっと驚いている
 
雨に濡れて 寒い
 
だけどそれの手を掴んでないと灰色のそれが、
メフィレスが消えてしまうんじゃないかって

逃げようとメフィレスの手が少し動いたけど
俺はその手を離さなかった

どうしよう声が、手が、震える
 
「メフィレス、は、冷たいよ」
 
手袋越しのその手が冷たくて、冷たすぎて両手で包んだ

何度も冷たいって呟きながら
温かくなれって思いながら

「シルバー、多分、今 きっとボクの手は温かいんだと思うんだ…君の手によって」
 
反対側のメフィレスの手がオレの手の上に置かれた
 
「だけど、ボクにはそれが解らない」

メフィレスの言葉は真実そして、もしかしたら嘘だけど
俺にはわからない

雨がゆっくりたたき付ける
 
「…実に残念だ」

ボクは影の闇だから 

メフィレスそう呟いて また 灰色の空を仰いだ

たぶん俺は知らない間に灰色のアンタを傷つけてる
 
灰色の空がひどく憎く思えた
 
雨が 冷たい寒い
 
「アンタ、やっぱり寒いだろ?」
 
メフィレスに流れた雨が涙みたいだった







side:Mephiles
 





灰色の背景にそれは見事に映えていた
 
「アンタ、寒くないのか?」
 
メフィレス、ってシルバーはボクに聞いてきた
けだるい雨がボクみたいな色の空から流れるように降っていた
雨が滴ってシルバーの居る方にフィルターが掛かったみたいに見える

「君は寒いのかい?」

シルバー、ってボクは相変わらずの口調で返した
 
「寒いよ、こんな雨に降られてんだぜ」
 
そう言いながら銀色のそれは不機嫌そうな顔して空を見上げている
一滴の雨にも濡れたくないって様に雨宿りしてるしね
でもボクは
 
「ボクは寒くないよ……それに」
「それに?」
 
ボクはゆっくり目を閉じてボクみたいな色の空を仰いだ

「雨に濡れているのも解らない」
 
その瞬間一瞬雨が止んだ気がしたけど違った
だけど君とボクの回りの空気は止まったみたい

ねぇシルバー今のボクは虚無の塊かもしれない

そんなこと思ってたら突然地面を蹴る音と君の声

「何言って…!!」

バシャバシャと水の跳ねる音が近付いてきたシルバー、どうして?
君の銀色が灰色の雨の世界で汚れてしまう
そう言おうとしたとき、突然、銀色の君の手がボクの手をとった
あまりに突然すぎて驚いて目を開けた

泣きそうなシルバーが見えた
 
銀色の君の毛皮が雨に汚れていって
だけど君の手が心地良くて振り払うことが出来なくて、
それに君の手が不安そうに震えていたからどうしょうもなかった
それに次いで震えるような君の声

「メフィレス、は、冷たいよ」
 
冷たいって呟きながら手袋越しにボクの手を両手で包んできた
優しくしないでくれよ
そう思うと、どこかに痛みが伴った

「シルバー、多分、今 きっとボクの手は温かいんだと思うんだ…君の手によって」

シルバーが掴んでない方の手をシルバーの手の上に置いた
本当なら温かい君の手
だけど

「だけど、ボクにはそれが解らない」

これは真実そして多分、嘘
雨がゆっくりたたき付ける
君の温もりが解らないなんて

「…実に残念だ」
 
ボクは影の闇だから

ボクはそう呟いて また ボクみたいな色の空を仰いだ
そうしてボクは優しい君を傷つける
灰色の空がひどく悲しく見えた
全ての感覚が 麻痺してわからない
 
「アンタ、やっぱり寒いだろ?」

シルバーに流れた雨が涙みたいだった
 


灰色の    
         灰色の     
                  雨降りの

そうやって   

  俺は     ボクは     
     アンタを          君を     
                           傷つける







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